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唯物史観その10

誤謬の歴史法則を拡大適用
[キーポイント]

これまで9回にわたって唯物史観の間違いを見てきました。マルクスが唯物史観で提示した「法則」はことごとく誤ったものであり、こうした誤った歴史観を現実世界に適用すれば、とんでもない間違った社会をつくることになります。それがまさにロシア革命以降の共産圏の「独裁政権」にほかなりません。マルクスがこのような間違いを犯すことになったのは、ヘーゲル哲学の影響を強く受けていたことと思想形成の動機が憎悪心にあったからです。その結果、間違った歴史法則を拡大解釈して、革命を正当化しようとしたのです。今回は唯物史観成立の背景と動機をさぐります。

その主張と批判

これまで見てきましたように、唯物史観の法則は歴史的な事実を根拠として立てた法則ではありません。
 たとえば唯物史観では奴隷制社会、封建制社会、資本主義社会のすべてに階級闘争があって、支配階級は必ず被支配階級による革命によって倒れるということになっています。しかし、実際はそうではありません。
 ローマ帝国(奴隷制社会)は奴隷(被支配階級)の反乱によって倒れたのではありません。奴隷の反乱はたびたび起こってはいますが、ローマ帝国が決定的に倒れたのはゲルマン民族の侵入とキリスト教の伝播によってです。
 また封建制社会も農奴(被支配階級)の反乱によって倒れたのではありません。すでに述べましたように(本シリーズ19回)、フランス革命ではアンシャン・レジーム(旧体制)の中で最初に革命の口火を切ったのは僧侶や貴族でした。その後、新しく興った中産階級(ブルジョアジー)が革命のイニシアチブをとり、ついに旧体制を倒したのです。貧しい農民と職人は全人口の圧倒的多数を占めていましたが、むしろ彼らは農村共同体やギルドといった古い秩序による保護を求め、革命に加わることはありませんでした。
 にもかかわらずマルクスは被支配者階級による革命で支配階級が打倒されるとの法則をつくったのです。

なぜマルクスはこうした間違いを犯したのでしょうか。それは資本主義社会(当時の)において彼が見いだした法則を、すべての時代に妥当するように無理やりに拡大適用したからにほかありません。
 マルクス自身がそのことを認めています。『経済学批判』の序説で次のように述べているのです。
 「ブルジョア社会はもっとも発展した、しかも、もっとも多様な、生産の歴史的組織である。だからこの社会の諸関係を表現する諸カテゴリーは、この社会の仕組みの理解は、同時にまた、すでに没落してしまったいっさいの社会形態の仕組みと生産諸関係とを洞察することを可能にする。…要するに、人間の解剖は猿の解剖に対するひとつの鍵である。これに反して、低級な種類の動物にある、より高級な動物への暗示が理解されうるのは、この高級なものそのものがすでに知られている場合だけである。こうしてブルジョア経済は、古代やそのほかの経済への鍵を提示する」
 ここでいう「すでに没落してしまった社会形態」とは、奴隷制社会や封建制社会をさすことはいうまでもありません。「人間」に対する「猿」もやはり「資本主義社会」に対する「奴隷制社会」または「封建制社会」のことです。マルクスは序文の中で、ブルジョアジー社会のカテゴリーや法則(むろんマルクスが立てた法則)を封建制社会や奴隷制社会のように過ぎ去った社会にもそのまま適用できると断じているのです。
 つまりこの序文は、マルクスが資本主義社会(歴史的に最も発展した社会形態)を分析して得た社会観を過去の社会(奴隷制社会、封建制社会)に拡大解釈したことを告白しているわけです。
 もちろん、資本主義社会を分析して得た社会観を過去の社会に適用することも可能でしょう。しかし、それが正当に適用できるかどうかは歴史の事実を照らし合わせて検証しなければなりません。検証した結果、適用できるならそれは法則といえるかも知れません。しかし事実が違うなら法則というわけにはいかないでしょう。資本主義社会に適用できても過去の社会には適用できない、とはっきりと表明しておくことが科学的な態度ではないでしょうか。マルクスはこうした態度をとらず、無理やりに法則なるものをつくり上げたのです。
 アメリカの哲学者シドニー・フックは「マルクスの根本誤謬は、彼が資本主義社会で観察したものを、すべての階級社会に拡大したことである」(『マルクスとマルクズム』)と指摘しています。

なぜマルクスはそうまでして唯物史観を「普遍的な法則」としてつくり上げることに腐心したのでしょうか。
 その第一の理由は、ヘーゲル弁証法の影響です。疎外論で見ましたように、マルクスはヘーゲルの影響を強く受けています。ヘーゲルの正ー反ー合の観念弁証法をマルクスはひっくり返して唯物弁証法をつくったのでした。歴史観もそうです。
 ヘーゲルは自然と歴史と精神の発展が同一の軌道上における一連の連続的な一貫した発展であるとし、それは矛盾の弁証法的発展で展開されていると説きました。マルクスはそれをそのまま受け入れて(もちろん唯物弁証法にひっくり返して)、自然が矛盾の弁証法に従って発展するように歴史も生産力と生産関係の矛盾による階級闘争によって発展すると主張したのです。
 いわば「ヘーゲルの呪縛」によって、マルクスは何としても法則をつくり上げなくてはならないという思考にはまっていったのです。ヘーゲルは、世界史の目的は自由が最高度に実現される国家であり、それを理性国家としました。これに対してマルクスは、世界史の目的は「自由の王国」としての共産主義社会の実現としたのです。
 第二の理由は、資本主義社会への敵愾心、憎悪心からです。
 「自由の王国」を実現するなら平和的手段でも可能なはずなのに、マルクスは唯物史観を法則化、公式化させて革命(暴力革命)の必然性を唱えました。こうした考えを決定づけたのはマルクスがプロシア政府の圧力によってパリから追放され、ブリュッセルに移ってからです(1845年春)。プロシアに対する敵愾心、許しがたい思い、復讐心から彼の思考と行動は次第に暴力性を帯びるようになり、暴力的な社会革命によって「自由の王国」がつくられると思い込んでいったのです。そして、ついには暴力革命そのものが現実的な目標となってしまいました。
   マルクスが1845年末から翌年5月にかけてブリュッセルで執筆したのが『ドイツ・イデオロギー』で、この中で唯物史観を初めて公式化して次のようにいいました。
 「共産主義はわれわれにとっては、つくりだされるべき一つの状態、現実が基準としなければならない一つの理想ではない。われわれが共産主義とよぶのは、いまの状態を破棄するところの現実的な運動である」
 「そして実践的唯物論者すなわち共産主義者にとって大切なのは、現存する世界を革命し、既成の事物を攻撃し変更することである」

このように唯物史観は憎悪心を動機として資本主義社会をあくまでも打倒するためのものです。目的(革命)を合理化するために巧妙に構築された、合目的的な主観的歴史観といえるでしょう。暴力革命は法則であるから何人も逆らえない、だから「万国の労働者よ団結せよ」(共産党宣言)とする革命煽動史観なのです。

資 料
レーニンの唯物史観による革命観

 「マルクスの天才は、彼がだれよりもさきに、世界史のおしえる結論をここからみいだし、これを首尾一貫しておしすすめることを理解した点にある。この結論が階級闘争の学説である。…(支配階級)の抵抗を粉砕するには、ただ一つの手段しかない。それは古いものを一掃して新しいものをつくりだす能力をもつ力となることができるし、またその社会的地位からして、そうならざるをえない勢力を、われわれのまわりの社会そのもののなかに見いだし、この勢力を啓蒙し、闘争へ組織することである」
(レーニン『マルクス主義の三つの源泉と三つの構成部分』)

代 案
「相対性の法則」

 一個体においても他者との関係に置いても主体と対象の相対的関係を結ぶことによって存在(相対物)し発展する。主体と対象は共通目的を中心として相互に関係を結ぶ。それゆえ社会が発展するための第一の条件は相対的要素が共通目的を中心として主体と対象の関係を結ぶことである。精神と物質、イデオロギーと経済的条件、精神的文化と物質的文化、政府と国民、経営者と労働者、労働者と生産用具等々の相対的要素が主体と対象の関係を結ぶことによって文化、経済、科学などあらゆる分野の活動が成立する。

「授受の法則」

 相対物はお互いの授け受けする相互作用(授受作用)によって存続、運動、変化、発展する。これを授受の法則という。歴史において相対物が共通目的を中心として円満な授受作用を行うときに発展する。たとえば政府と国民が国家の繁栄を目的に円満に授受作用すれば国家は発展する。企業が発展するには資本家と経営者、技術者、労働者らが繁栄を目的に授受作用しなければならない。対立し闘争すれば倒産する。

「相克の法則」と闘争

 授受作用は主体と対象の間で行われるが、一主体と他の主体は互いに排斥しあう。これを闘争ではなく相克作用と呼ぶ。相克作用は本来、主体と対象の授受作用を強化あるいは補完する役割をもっている。陽電気と陽電気が互いに排斥しあうのは、主体(陽電気)と対象(陰電気)の授受作用を強化、補完するためである。歴史においては相克作用はしばしば主体間の闘争を招いてきた。闘争は発展の方向性を転換させるだけで闘争それ自体によって発展するのではない。明治維新(闘争)は幕藩体制から近代国家へと転換させたのであって、もし闘争がずっと続くことになれば発展せず混乱し没落しただけである。

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